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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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あたしの彼はご主人さま(2) -19
2006年03月01日 (水)
 ママが見せてくれた週刊誌の記事には、いろんなことが書いてあった。
 お母さんが愛人だからって認知してもらえなくて、だからユーキさんは私生児だったこととか、お父さんが前の奥さんと離婚してお母さんと正式に結婚して、ユーキさんも結城姓になったけど、でもユーキさん自身を親戚や周囲は認めてくれなくて、小学校に入る直前くらいまでお祖母さんのところで暮らしてたこととか。家で一緒に暮らすようになってもお母さんの違う兄姉がいて、一番年下のユーキさんはみそっかす扱いで。いてもいなくても一緒、みたいな扱いで。
 ずっとそんな立場だったユーキさんは、名家のお嬢さまと婚約して、それでやっと結城の一員になれた。努力も実力も認められて、『総帥候補』って言ってもらえるほどになった。
 はっきりとは書いてなかったけれど、記事は『よかったね、頑張ってね』と締めくくっていた。あの記事を書いた記者さんはユーキさんに肩入れしてるみたいだった。
 他人がそれくらい気に掛けてくれるくらいに、それまでのユーキさんの扱いはひどかったんだろう。周りの人が可哀想に思っちゃうくらいだったんだろう。そんな中でユーキさんは頑張ってきたんだろう。
 あたし、知らなかった。なんにも知らなかった。
 ユーキさんは産まれついてお金持ちのおぼっちゃまで、みんなにちやほやされてきたと思ってた。
 背も高いしカッコいいし頭もいいし、だから苦労なんかしたことないんだって思ってた。なんでも簡単に手に入れてきたと思ってた。ユーキさんがどんなに頑張ってきたかなんて、考えたこともなかった。


  -つづく-
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ケータイアクセスさまへ。
2006年03月01日 (水)
 最近ケータイから「プッシーキャット」を見てくださってるかたが結構いらっしゃるみたいです。
 にゃおの使ってるケータイは古い(二年以上使ってるのです^^;)ので、今どんなふうに見えてるのかよくわかってないのですが、でももしかしたらケータイアクセスしてくださってるかたには「プッシーキャット」は優しくないんじゃないかなって心配になってきました。普通はブログって新しい記事が一番上にくるようになってるのですけど、プッシーキャットはそうじゃないので。

 なので、ケータイアクセスさまににゃおからのお願いです!

 こんなふうだったらもっと読みやすいのに。
 サイドバーが見えないから、最新のお知らせが見えない。
 噂になってるっぽい「ラブコスメ」だけど、ケータイから行けない!
 いまのままでも大丈夫だよ。

 等々、
 ご意見がありましたら、もーなんの遠慮もなくがしがし教えて欲しいです!
 にゃおにできることは限られてますから、できないこともいっぱいあるとは思いますけど、でもできる限り頑張るつもりですので!
 どうかよろしくお願いしますっ!!
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あたしの彼はご主人さま(2) -20
2006年03月02日 (木)
 名家の令嬢との婚約を武器に、なんて、あんまりいいやりかただとは思わないけど。でもそれも、周囲の人に認めてもらうためだったら、しかたない、のかもしれないし。
 もしかしたら、二人はとっても仲良しでホントに愛し合ってて、相手の人がお嬢さまだったのはたまたまなのかもしれないし。ユーキさんは優しい人だから、女の人のほうが好きになったのかもしれないし。
 でもそれも、あたしがいたらダメになっちゃう。
 あたしはいないほうがいい。いなくなったほうがいい。
 わかってたのにそれでも会ったのは、最後にもう一度顔を見たかったから。名前を呼んで欲しかったから。あたしを見てくれる優しい目を、あたしの名前を呼んでくれる優しい声を、心の奥に焼き付けておきたかったから。
 ただそれだけ。それ以上は望まない。抱きしめてくれなくてもキスしてくれなくても、えっちしてくれなくてもいい。もう充分。今までいっぱいもらったから、もうこれで終わりでいい。
「これで、いいんだよ、ね」
 嘘じゃない。強がりじゃない。本当にそう思ってる。
 ユーキさんの望みがかないますように。ユーキさんの望みが残らず全部かないますように。ユーキさんが幸せになりますように。ユーキさんが世界一幸せになりますように。
 神さまお願い。あたしのことはどうでもいいから。
「だいすき」
 大好き。
 だいすきだよ、ユーキさん……。

 そのあと、あたしは熱を出して三日間寝込んだ。


  -つづく-
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いろいろと考えた結果
2006年03月02日 (木)
 今まで『小説なのでストーリィの流れの順に』にこだわり、ブログとしては珍しく古い記事から順番に並んでいた「プッシーキャット」ですが、ブログらしく「新しい記事を一番上に」に変えることにしました。
 ケータイアクセスさまから要望された「最新記事へのリンク」を為してくれるブロック変数を発見できなかったこと、変数の替わりにHTMLで表示するのは手間が掛かりすぎ更新頻度を落とさざるを得ないこと、変数をさがしていて疲れ果てたこと、の三つが理由です。もしその変数の存在をご存知のかたがおられましたら教えてください。

 疲れました。ちょっと休ませてください。
 根性なしですみません……。
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お言葉いただきましたv
2006年03月03日 (金)
 おはようございます、にゃおです☆
 今日はひな祭りです。
 別にお雛さまなんてないし、せめてコンビニであられでも買ってみようかなーとか思ってたりします。うわー寂しいッ☆

 お言葉いただきましたー。ありがとうございますっ!『なんだか切ないんだけどきっとユーキさんは千紗ちゃんのもとに戻ってきてくれると。。。願ってます。』って言っていただけて、とっても嬉しいです!
 ねー、ホント千紗ちゃんっていいコですよねえー。にゃおだったらあんなにおとなしく身を引いたりなんてしませんっ! 思いっきりとっちめてやりますよっ!!(笑)
 二人の今後は……乞うご期待☆ とか言っちゃってイイのかな……?
 ええと追い詰められてます。なかなかえっちなシーンにならないしー!えっちなことも書きたいよー!(≧ο≦)っとか言ってる場合じゃないですけどv

 そしていつも「よかったよ♪」を押してくださるみなさま、ありがとうございます、励みになります☆嬉しいです☆
 それからそれから、今日は諸事情あって更新できないのですけど(理由:更新する文がないのですT∇T)その代わりにといってはなんですけど「サイト版プッシーキャット☆テイル」に『夢で逢えたら』を公開しましたv まとめ読みしよっかなーってときには便利かもしれないので、よかったら覗いてみてやってくださいなv 
 勿論今回も橘サンのところの素敵なお写真が背景になってますvv

 ≫サイト版 プッシーキャット☆テイル
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あたしの彼はご主人さま(2) -21
2006年03月04日 (土)
 世界と地面はふわふわしたまま通り過ぎて、いつのまにかあったかくなって桜が咲いて、そしてあたしは高校三年生になった。正式に受験生になったわけで、それは全然嬉しいことじゃないけど、でも今までも地味に勉強をしていたので、それほど生活は変わらなかった。先生にも、今の成績をキープしておけば大丈夫だって言われたし。
 お付き合いしている人がいなくなったら自分の時間が増えてしまって、浮いた時間を全部勉強に当てるのもつまらないので、アルバイトをすることにした。近所のスーパーのお惣菜屋さんで週に一回か二回、土曜と日曜だけ。でも休みの日に独りで部屋にいるのはイヤだったからちょうどよかった。一緒に働いているパートのおばさんにお料理の作り方を教えてもらえたり、残りものを分けてもらえたりと、あたしにとってすごくいいアルバイトだった。
 バイト代は半分は貯金して、もうあと半分は好きなように使うことに決めた。ママは最初、あたしがアルバイトしたいって言ったときは、お小遣いが足りないなら増やしてあげるからってちょっと渋い顔をしたけど、でもあれ以来あたしの思う通りにさせてあげようって思ってくれてるみたいで、結局は学校へ出すアルバイト許可書にサインをしてくれた。
 だからその日もいつものように、出たばかりのアルバイト代が入った封筒を持ってあたしは行きつけの本屋さんに行った。参考書を選ぶついでに経済関係の雑誌を立ち読みする。それが本屋さんに行ったときのあたしの新しい習慣だった。
 今まで全然知らなかったけど、経済雑誌というのは週刊誌、月刊誌、そして季刊誌もあわせると結構な数があって、そして毎月どこかの雑誌に必ずと言っていいほど『結城』関連の話題が載っていた。
 あたしが知らなかっただけで、ユーキさんのお家はすごく大きなグループ会社らしい。有名な銀行やホテル、デパート、タクシー会社、身近なところではレストランやレンタルショップ、カラオケボックスなんかに実は『結城』関連会社があったりして、その中には家の近所の回転寿司のチェーン店なんかもあったりして、本当にびっくりした。


  -つづく-
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あたしの彼はご主人さま(2) -22
2006年03月05日 (日)
 そっちの業界ではユーキさんはそれなりに名前が通っているみたいで、ときどきどこかの雑誌で『結城和真』の文字を見る。好意的な文章だったり、興味本位の悪意的なゴシップだったり、いろいろだけど。
 経済雑誌という名前だけで、あたしはそれが難しい堅苦しいものだと思い込んでたけれど、意外にも結構砕けてたりする。『女子高生にハヤリを教われ!』なんてタイトルで、女の子に話をきいて、仲間内で流行ってる物を集めてそれがどうして流行っているのかを分析したりとか、ぱらぱらめくってると面白いページがときどきある。えっちなコラムなんかも載ってたし。
 一度だけ、カラー写真付きのユーキさんのインタビュー記事を見つけて、普段は立ち読みで済ませることが多いのだけれど、その雑誌は迷わず買った。勉強してる振りでママの眼を盗んで、何回も何回も、覚えるくらいその記事を読んだ。
 久し振りに見たユーキさんは写真写りが悪かったからかもしれないけど、頬がこけて見えるくらい痩せてて、ちゃんと食べてるのかなって感じだった。ユーキさんのことだから、またハムやチーズでワインを飲んで、それで晩御飯にしてるんじゃないかなって。大学にも通いながら仕事をしてるから、寝る暇ももったいないとか書いてあって、それで忙しくて痩せちゃったのかもしれないけど、大丈夫かな、身体壊さないかな。
 インタビューの内容は、経済の専門用語らしいアルファベットやカタカナが多くて、意味はよくわからなかったけど、でも、ユーキさんはすごく頑張ってるんだなあって、みんなに認められてるんだなあって思って嬉しかった。でもあたしは、もうこんな記事でしかユーキさんの今を知ることができないような存在なんだと、そう思い知らされたような気もした。
「やっぱりさびしい、かな」
 あたしが望んだことだけどあたしが決めたことだけど、本当はさびしい。


  -つづく-
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あたしの彼はご主人さま(2) -23
2006年03月06日 (月)
 いつもの棚、いつもの雑誌。
 車やバイクそれにパソコンなんて男の人向けの雑誌ばかりで、だから周りにいる人も男の人ばっかりで。そんな中うろうろする制服姿の女子高生ってちょっと浮くかも。そんなことを考えてためらっていたのも最初のうちだけで、今じゃなんでもない。あたしだってよっぽど暇なときじゃないと他人の行動をずっと見たりなんかしないし、だから誰もあたしのことなんか見てない。ただ、男の人の背中の隙間から見慣れたロゴを探して一歩づつ歩く。
 ――あった。
 見つけたそれは、あたしが最初にユーキさんのことを知った雑誌。
 それはママがお勤めしてる会社が発行してるものだった。だからママに言ったら割引価格で手に入るのかもしれないけれど、でも多分ママは嫌がるだろうから、だからこうやって隠れてこっそり探す。
 例の、ユーキさんにとっても好意的な記者さんがよく結城関連の記事を書いてるから、ママの会社の雑誌があたしの一番のお気に入りだった。記者さんがどんな人なのかちょっと気になって一度訊いてみたこともあるけど、でもママは部署が違うからどんな人なのか全然知らないって言ってた。
 経済の雑誌だからっていつもいつも結城グループの話が載ってるわけじゃなくって、しかも後継者がどうのこうのって話は最近はあんまり出てこなくなったから、ユーキさんの名前を見る機会は減ってきてた。だから久し振りにその文字を見たのは嬉しかったような気が一瞬だけしたけど、でも。
 ――なに、これ。
『結城財閥、分裂の危機か? 後継者抗争激化!』
 表紙に太い赤い文字で書かれた物騒な言葉に、どくっと心臓が鳴った。


  -つづく-
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お言葉いただきました。
2006年03月06日 (月)
 おはようございます、にゃおです。
 花粉症が始まってるんですってー。いやですねー。
 にゃおはそんなにひどくはないのですけれど、ちょっと鼻水が出ちゃうのですよー。ひどい人はもうすごいことになってるらしくて、しかも誰がいつそうなってもおかしくないって、テレビで言ってたし。
 うーん、イヤだなー。

 ところでお言葉いただきました。『アンタ女ぁ~?』ってどーゆー意味ですかっ(笑)勿論にゃおはおんなのこですよ♪
 でもそれよりも「アンタ」って言われなれてないのでびっくりしましたー。だってほら、普通のお友だちならともかく、ネット上って普通は敬語ですしね。にゃお嫌われてるのかしら、とかいろいろと考えちゃいましたけど、多分悪意はないのでしょう。ということでムリヤリ納得しました。
 
 ちなみに昨日の更新分でいただいた「よかったよ♪」は今までの最高記録でした☆とっても嬉しいです☆がんばろうって思いますv
 これからもまた気が向いたらぽちっと押してやってくださいませvv
 でもでも、全然えっちなシーンがなくてすみません、もうちょっと、だと思いますので(まだ書けてないのでわからないのですが)気長にお待ちくださると、ええと、とっても嬉しいなあ、と思います☆
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あたしの彼はご主人さま(2) -24
2006年03月07日 (火)
 立ち読みする勇気もなくて、でも見なかったことにすることもできなくて、だからあたしはその雑誌を素早く手に取った。
 もらったばかりのアルバイト代の入った封筒から千円札を一枚抜き出して、小走りにレジへ向かう。返された小銭をお財布に戻す手間さえ惜しくて、震える手のひらに深く握りしめた。走るような早足で本屋さんを飛び出して、壁の隙間に隠れるように立ったまま紙袋を破って中身を出して、急いでページをめくる。

 結城財閥、後継者選び最終局面!
 揺れる結城グループ!
 対立深める、王道経営者長男VS改革的手法者次男。
 来月の創立百二十周年がXデーか?

 ワイドショーみたいな、センセーショナルな嘘みたいな文字が並んでいた。
「なに、これ……」
 記事は、お母さんの違うお兄さんとユーキさんが修復不可能なほどに揉めてて、今やそれは両方についた勢力の争いに発展してしまって、グループ全体を巻き込んでの騒ぎになっているのだと書いてあった。まるで会社内で戦争でも起こりそうな雰囲気だと、どちらかが消えるしか事態は収まらないだろうと、興奮したような調子で書いていた。
 どちらかが消える?
 ユーキさんが、いなくなっちゃう?
 ケータイを取り出して電話をかけようとして、番号はあの日に消してしまったことを思い出す。一瞬迷って、でも、あたしは駅に向かって駆け出した。定期を通すのももどかしい勢いで改札を走り抜けて、発車間近の電車に乗り込む。ドキドキする心臓を押さえてなんでもない振りをしながら、ドアの上に貼られた路線図を眺めた。ユーキさんのマンションの最寄駅まで五駅。十三分と少し。
 あとから思えば、もうちょっと落ち着いて考えてから行動すればよかったのだと思うけれど、でもこのとき、あたしは何にも考えてなかった。ユーキさんのことしか考えてなかった。
 それ以外のことなんて、どうでもよかった。


  -つづく-
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あたしの彼はご主人さま(2) -25
2006年03月08日 (水)
 どうしよう。困ったなあ……。
 マンションの入り口の門の前であたしは立ち尽くしていた。
 電話番号を消したくらいだから、鍵なんて持ち歩いているわけがない。部屋に帰ればあるんだけど。ママに見つからないように、机の鍵の掛かる引出しの奥に、ティッシュにくるんでこっそり置いてるんだけど。でも、もうマンションに来ちゃったし。このままじゃ、部屋に行けない。
 管理人さんにわけを話せばもしかしたら入れてくれるかな。でもあたしの顔なんて覚えてるわけもないし、あたしとユーキさんは今は何の関係もないし。前に付き合ってたって言っても、それを証明するようなものなんてある筈もないし。そんなことを散々考えてから、あたしは部屋へ直接コールすることにした。
 部屋にユーキさんが居るとは限らないし、居ても出てくれるとも限らないし。でも、もしかしたら、居てくれるかもしれない。あたしが相手でも出てくれるかもしれない。少しでも話ができるかも……しれない。
 お願い、神さま。
 震える手で部屋番号の「1202」を押した。
「はい」
 三つ目の呼び出し音が途中で途切れて、意外なほどあっさり声が返ってきた。
「――どちらさん?」
「ユーキさんっ!」
 何ヶ月ぶりかのその声に、あたしは思わず叫んだ。
 驚いたように一拍置いてから、スピーカの向こうから弾けるような明るい笑い声が聞こえてくる。それはあの日以来聞いたことのない、優しい懐かしい声で、だから。
「なんだ、大きな声だな。どうしたの?」
「あたし、雑誌見て。それで心配になって……」
 それ以上は言えなかった。嬉しくて涙が出そうで、言葉にならない。


  -つづく-
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あたしの彼はご主人さま(2) -26
2006年03月09日 (木)
「雑誌? まあいいや。入っておいでよ」
 記憶にあるより少し低い声が明るく言葉を続ける。同時に玄関ドアのロックが開いて、あたしは反射的にその隙間に潜り込んだ。広いエントランスを横目に真っ直ぐにエレベータホールに駆け込んで呼び出しボタンを押すと、三機あるエレベータのうちの一つのドアがすぐに開いた。それに乗って『十二』と『閉まる』のボタンを連続で押して一呼吸、ドアはイヤがっているようにゆるゆると閉まった。ぐんと脚にヘンな重みを感じる。
 エレベータは十二階を目指して上がってる。あたしのために。あたし、ユーキさんと会えるんだ。話してもらえるんだ。
 ユーキさんは、いつだったか泣きながら見た夢みたいに、冷たい目で怖い声で『今さら何しにきたんだ』とか、言わなかった。冷たくあしらったりしなかった。明るい声で入っておいでって言ってくれた。あの日のことを咎めたりなんかしないで、あたしを部屋に入れてくれるって、普通に考えたらおかしいと思うけど。でも、逆にそれくらいのほうがユーキさんらしい、のかも。
 安心したのと嬉しいのとで浮かれてまとまらない頭で、そんなことを考えているうちに、あっけないくらい簡単に十二階に着いて、怖いくらいのスムーズさであたしはユーキさんの部屋の前にいた。久し振りの、でも見慣れた玄関。チャイムを鳴らすと、その瞬間を待っていたかのようにドアが勢いよく開いた。
「ユーキさんっ」
 開いたドアのあいだに駆け込むと、そこに立っていたのはユーキさんじゃなかった。黒いスーツを着た背の高いゴツい体型の男の人が無表情にあたしを見下ろしてて。
「えっ?」
 そのまま思わず固まったけれど、その男の人はあたしのことなんか気にする様子もなく大きな手で腕をつかんで、玄関の真ん中に引っ張った。すぐうしろでガチャリと重い音がして、ドアと鍵が掛けられる。
 この人、だれ? そう思う暇もなく、男の人は奥に向かって話し掛けた。
「若、来ました」
「そうか、早かったな」
 どこか尊大に返ってきた、聞き慣れた声の聞き慣れない響き。でもそれがどう言う意味なのか、あたしに考える余裕はなかった。


  -つづく-
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あたしの彼はご主人さま(2) -27
2006年03月10日 (金)
「ユーキさんっ!」
 玄関先で黒いスーツを着た男の人に腕をつかまれたまま、髪を振り乱す勢いであたしはそっちを見た。突き当たりのリビングのドアが開いて、中から人が出てくる。
 ゆっくりとこっちに歩いてくるその人影は、逆光で顔がよく見えないけど、でも。
「制服? 女子高生?」
 優しい声が近付いてくるごとに少しずつ見えてくる。
 濃いブラウンのスーツ。シャツの一番上のボタンが外れてネクタイが少しだけ緩められていて、ちょっとごつめのあごのラインが見える。その上の見慣れた顔。優しい顔。でもメガネをかけてるせいか、なんかこう……冷たいカンジで。そういうのって、ちょっとユーキさんっぽくない。ヘンなの。
「あいつの趣味もよくわからないな」
 ユーキさんは唇の隙間から白い煙を吐きだすとあたしを見て、頬を歪めるように低く笑った。顔の動きにあわせたように、さらりと前髪が流れる。
 ――違う。
 顔も声も背格好も似てるけど、すごく似てるけど、でも違う。だってユーキさんはメガネかけてないし、髪はもっと固い感じでいつも短くしてるし、それにタバコなんて吸ってないはず。タバコ吸ってるところ見たことないし、においがしたこともないし。だから、この人はユーキさんじゃない。そっくりだけど、ユーキさんじゃない!
 あれ? だったらこの人は? これだけ似てて赤の他人だっていうのは考えにくくて。じゃあ兄弟とか親戚とか? そう思った瞬間に思い出した。
 ――あの記事には、なんて書いてあった?
 ユーキさんの揉めてる相手は、確か、お兄さんで。お母さんが違っても、兄弟だったら顔が似ててもおかしくない、かも。じゃあ、もしかして。目の前のこの人は、ユーキさんと後継者争いをしてるっていう、ユーキさんのお兄さん?
 すうっと、背中が冷たくなった。


  -つづく-
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あたしの彼はご主人さま(2) -28
2006年03月11日 (土)
 逃げなきゃ。あたし、どうにかしてここから逃げなきゃ。
 玄関ドアまでの距離は二歩。さっき鍵をかける音がしたから、ちょっと手間取るかもしれないけど、でもやってやれないことはないはず。一歩さりげなく下がって、それでドアノブつかんで開錠して、一気に飛び出せばいい。でもそう思った瞬間、なぜかあたしは悲鳴を上げていた。
「動くな」
 脅すように短く告げられた意味さえわからないほどの、右肩の痛み。
 いつのまにかあたしの背後に立っていた黒いスーツを着た男の人に、肩甲骨に手首がつくくらいに腕をひねられて、肩が外れそうに痛くて、でもそれ以上にあたしの腕を容赦なくつかんでる強い手が怖い。
「痛いよっ、放してよっ!」
「おとなしくしてろ」
 あたしの言葉なんか聞いてないような、何を言っても聞いてくれないような、冷たい言葉が背後から返ってくる。
 この人、あたしが痛がってることなんて気にしていないんだ。暴れたらこのまま腕を折る気なんだ。そういうことしても平気なんだ。もしそれでも逃げようとしたら、多分、もっとひどいことして……。そう考えて思わず固まる。あたしが動かなくなったのを確認したように、腕をつかむ力が弱まる。バリバリと変な音がして、後ろ手につかまれた手首に服の上から何かが巻きつけられた。食い込む感じがしないから紐じゃない。これは……粘着テープか何か?
「そうそう、いいコだからそのままおとなしくしてて」
 ユーキさんによく似た人は楽しそうに言いながら、あたしにタバコの煙を吐きかけた。きついにおいに咳き込みそうになって思いっきり顔をそむけると、手を伸ばしてあごをつかまれた。むりやり上を向かせられる。あたしと目が合うと、彼はにっこりと笑った。
 その表情は、呼吸するのを忘れそうになるくらいに涙が出そうになるくらいに、ユーキさんに似てる。似てるのに、なんで?
「ようこそ、お嬢さん。歓迎するよ」
 低く笑う声に、全身に鳥肌が立った。


  -つづく-
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あたしの彼はご主人さま(2) -29
2006年03月13日 (月)
「さてと。いろいろと訊きたいことがあるんだけど。答えてくれる?」
 脱ぎ捨てた服と散乱した雑誌と、詰み上げられた本で散らかったリビングは、見慣れてたけど少し懐かしい。ユーキさんは意外にもちょっとそういうだらしないところがあって、今までもときどきこんな感じになっていた。
 片付けが嫌いとかできないとかじゃなくって、忙しくなると身の回りのことに構わなくなる癖があって、自然とこうなっちゃうみたい。それをわざとぶつぶつ文句を言いながら片付けるのがあたしは好きだった。
 ときどき、洗濯物の中に女の人の香水の匂いや口紅が移ったものとかが混じっててそれを見つけちゃったりして、でもあたしは気付かないふりをした。ユーキさんの時間はユーキさんのものなんだから、あたしといるときはあたしだけを見てくれてるんだから、それで納得しなきゃって、そう考えていた。
 でも、ホントはちょっと妬いてた。あたしはユーキさんとしかえっちしないのに、ユーキさんはそうじゃないんだなあって思うとちょっと寂しかったりもしたけど。でも今から思えば、あの口紅とかって婚約者のお嬢さまが犯人だったのかも。
 こんなこと、思い出したりしてる場合じゃないのに。そうぼんやり考えながら、あたしは言われるままソファに座って、ユーキさんによく似た人を見上げた。
 黒いスーツを着た怖い人はキッチンカウンターのところに立って、黙ってこっちを見ている。ううん、見張っているんだと思う。多分、この人の部下とか、そういう立場なんだろう。相手が一人だったらまだ隙を見て逃げられるかもしれないけど、これじゃどうにもならない。この人たちの言う通りにしてるしかない。
「話すわよ。話すから、これ外してよ」
 身体を揺すって後ろ手にテープでぐるぐる巻きにされた腕を示すと、その人は楽しそうに笑った。そのままあたしの隣に座って馴れ馴れしく肩に手を回してくる。
「素直にいいコに、ホントのことを全部教えてくれたらね」
 にっこり笑うとその人は新しいタバコに火を点けた。
 少し目を伏せてふうっと煙を吐き出す横顔は、すごく悔しいけど、やっぱりユーキさんにとってもよく似てる。もしユーキさんがメガネかけてタバコを吸ったらこういう感じなんだろう。


  -つづく-
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お言葉いただきました♪
2006年03月13日 (月)
 おはようございます、にゃおですっ☆
 起きたら12時回ってました! もう朝じゃないよ、昼だよっ(TοT)

 昨日は、「久し振りに会ったお友達とお酒飲んで盛り上がってたら電車がなくなっちゃってーえへv」という事態になって、それでもなんとか部屋に帰り着けたので、シャワー浴びてお化粧落として、タバコのにおいの付いちゃった服を洗濯籠に放り込んで、すぐに寝ました。でも朝は飲みすぎちゃったらしくてアタマがズキズキで起き上がれなくって。
 ううむー。あんまりお酒に強くないのだからちゃんとセーブせねばっと思いつつ、盛り上がっちゃうとついつい飲んじゃうのですよねー。ダメダメです。

 お言葉いただきましたっ!
 いつもありがとうございますうっ♪

『毎回毎回ハラハラドキドキ、時に切なくなりつつ、「千紗ちゃん頑張れっ!」ってエールを送りながら読ませていただいてます。』
 きゃーパスちゃんっ。おひさしぶりですうっー!
 千紗ちゃんを応援してくださってありがとうございますっ。はい、千紗ちゃん頑張っています。千紗ちゃんなりにかなりイッパイイッパイだと思うので可哀想だなーって思うときもあるのですけれど……ごめんねー。
 そしてブログ立ち上げおめでとうございますっ!近々お伺いさせていただきますねv


『あんまり千紗ちゃんを、いじめないで下さいね。』
 ああう、ごめんなさいっ。
 千紗ちゃんはですね、もうちょっといじめられちゃってます。ユーキさんのお兄さんはちょっと怖い人なのです。にゃおは結構好きなタイプなのですけど、みなさんには嫌われちゃってるだろうなーと思うと切ないなー。
 ストーリィは現在とっても盛り上がってるところなのでにゃおも結構キビしいのですが、頑張って書いております!
 勿論ラストはハッピーラブラブ! ……でしょう!きっと!多分っ(T_T)


『たった二日と言ってしまえば、それまでですけど首を長ーくして待ってる者としては結構ツライ』
 きゃーごめんなさいっ! そして不謹慎ですけどとっても嬉しいお言葉です、ありがとうございますっ!
 ええとですね、実は昨日はお友だちとコンサートへ行ってたのです。コンサートっていうか、ライブ? なんかバーの奥にステージがあるっていうお店です。普段ロックとか聴いてないのでちょっと圧倒されちゃいました。すごい迫力なのっ!
 しかもですね、かっこいいおにーさんたちが半裸で演奏されてるのです! 胸板厚いのですっ!たくましいのですっ!露出高いーっ!うわーうわーっ!ダーリンごめんなさいっ!見ちゃうよ、にゃお見ちゃうよっ!!喜んじゃうよっ!!
 えーと、そういう一日でとても楽しく過ごしていました。……ごめんなさい……。

 そしていつも「よかったよ♪」を押してくださる方、FC2ブログランキングボタンを押してくださるかた、本当にありがとうございますっ! 励みになりますっ!
 にゃお、頑張りますので、どうかこれからもよろしくお願いします!!
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あたしの彼はご主人さま(2) -30
2006年03月14日 (火)
「だから、話すって言ってるでしょ!」
「そんな大声出さなくても聞こえるよ」
 余裕たっぷりな態度とあたしをからかうように肩をすくめる仕草、それにしゃべりかたまでそっくり。わざと似せてるの? それとも、元から似てるの?
「じゃあまず名前から。名前は?」
「高見千紗」
「千紗ちゃん、か。年はいくつ?」
「……十七」
「へえー、若いねー」
 彼は長くなった灰を落としながらくすくす笑った。
 ユーキさんは一重で切れ長の目をしてて、この人は二重。でもまつげが長いのはおんなじ。だから目を細めるように笑うと、ホントに、もうっ!
「和真のヤツとどういう関係? 普通のオトモダチってことはないよなあ」
「あなたってユーキさんのお兄さんなんでしょ? どうしてあたしにこんなことするの? 何がしたいの?」
 嗅ぎ慣れないタバコのにおいから逃げるようにしながら訊くと、彼はあたしに煙を吐きかけた。げほげほとあたしが咳き込むのを面白そうに笑う。
「おいおい、訊いてるのは俺だよ。千紗ちゃん」
 言いながら手を伸ばしてくる。
「ユーキさんじゃないくせに、千紗って呼ばないでよっ」
 頬に触れた指先から思いっきり身を引くと、彼は一瞬あたしをまじまじと見て、そして弾けるように明るく笑った。
「なんだよ、失礼だなあ。俺だって結城なんだけど」
 くくっとのどの奥で笑う声がもう、ホントに似てて。ドキドキしちゃうくらいで。こんなヤツにドキドキしちゃう自分に腹が立ってくるっ!
「あんなやつのこと好きなの? 付き合ってんの? もうセックスした?」
「そんな……そんなことっ!」
 失礼な言い草も楽しそうな声もあたしをバカにしてるような目付きも、耐えられないくらいムカつく。なのに、その目で見られるとどうしていいかわからなくなってしまう。
 こんなイヤなヤツがなんでっ?
 遺伝子のバカ! ユーキさんのお父さんのバカっ!!


  -つづく-
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お言葉いただきました♪
2006年03月14日 (火)
 おはようございます、にゃおですっ☆
 今日は花粉すごいのかなあ? なんか朝からハナがずるずるです。いきなりキタナイ話題でごめんなさいm(_ _)m
 でもでも、梅が咲いてたりして嬉しいですよねえ。にゃおは桜の花が大好きなのですけど、でも梅も結構好きです。なので花粉症ですけど春は好きですv

 えっと、お言葉いただきましたっ!ありがとうございます☆

『千紗ちゃんが辛そうですがユーキさんも同じように苦しんでそう…。』
 ありがとうございますっ!
 千紗ちゃんの一人称なので、ユーキさんの気持ちとか行動の理由とか全く書いてないのに、ユーキさんのことを気にしてくださってるってのがとっても嬉しかったです!
 ユーキさんのほうにもそれなりの理由がちゃんとあるんですよ、酷い人じゃないんですよ(でも善人でもないけど)、ってのはにゃおがいちいち説明するまでもなくみなさんわかってくださってると思うので言いませんけど。でも「言うまでもなくわかってくださってる」って言えるのってすごい幸せだなあーって思いますvv
 この状況のユーキさん視点で、ってのは今のところ全然予定はないのですけれど第二部書き終わって、ちょっとお休みもらって、それでもしも書きたくなったら書こうかなあー。
 読みたいかた、いらっしゃいます?(^^;)

 そしていつも「よかったよ♪」やFC2ブログランキングへの投票ボタンを押してくださってありがとうございますっ! 嬉しいです、がんばりますっ
 なので、またよかったら押してやってくださいねvv
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お言葉ありがとうございますっ
2006年03月15日 (水)
 おはようございます、にゃおです☆
 「あたしの彼はご主人さま 第二部」がなんかメドがついてきたっぽいカンジで、すごくホッとしてます。ああもう、どうなることかと思ったよーっ。
 だってだって、最初に考えてたのと全然違うんだもの! 千紗ちゃんもユーキさんもにゃおのことなんか無視無視で勝手に動いちゃうんだもの!
 まあいいけどー。

 ということで、またまたお言葉いただいちゃいました! うわー嬉しいっ!いつもありがとうございますっ!!

『ブログのとこにもポチリをつけてくれると嬉しいなぁ。ポチリ押すために毎日サイトに来てますよー。』
 えええ?付いてるのにー?って思って確認したんですよお。
 そしたら、にゃおのケータイが古いからかもしれないんですけど、みなさんのケータイだとちゃんと見えてるのかもしれないのですけれど、こないだつけた筈のサイトへのリンクも「よかったよ♪」も見えないのですっ!にゃおびっくりしました!
 ごめんなさい、もっと早く確認しとけってハナシですよねー……。
 ということで、いろいろ試行錯誤です。「こっちのほうが…」ってご意見がありましたらまた教えてください。にゃおにできることは頑張りますっ!

追記:今にゃおのケータイで確認したのです。サイトへのリンクはあるのですが「よかったよ♪」は見えませんでした…がっくり。敗北感…ブログは対応してくれないのね…。
 ケータイアクセスさま、どうなってます?ダメなのはにゃおのだけだったらいいんですけど…。
 どうぞご意見ください(T∇T)


『ユーキさんの一人称、読みたい方います?って勿論読みたいに決まってるじゃないですかぁー!絶対に書いて下さいませね♪』
 反応早いですねー! 意外にもユーキさん一人称って人気あるのかしら?(笑)
 ええと、じゃあ完全にはかぶりませんけど、この辺りでこんな感じで……って短編でも考えようかな♪
 なんで完全にはかぶらないかというと、それをしようと思ったら当然のことながら「ユーキさんのお仕事光景」を書かないといけないからです。にゃおエライ人じゃないので、管理職の仕事なんて全然検討つきません! あと、件のお嬢さまが問題なのですよー。そっちの設定をどうするか、まだ考えてないのですよーっ。
 でもユーキさんの一人称だとちょっとユーキさんが悪人っぽくなっちゃいそうだなーとか思うのですが、まあいいか。今さら改まっていうことでもないですけど、ユーキさんは決して善人ではないのです。千紗ちゃんには優しいんですけどねv

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あたしの彼はご主人さま(2) -31
2006年03月15日 (水)
「恥ずかしくて答えられない? じゃあキスは?」
 言いながら彼はメガネを外した。ゆっくりその目が近付いてくる。嫌な予感に思いっきり顔をそむけると、強くあごをつかまれて引き戻された。
 睨みつけようとした瞬間、視界を肌色の闇が覆った。圧し掛かるように体重をかけて押さえつけられて、そして唇をふさがれる。分厚い舌がぬるりと入り込んでくる。遊ぶように歯の裏側を舐めて舌を絡めてくる。
 あごをつかむ手が強すぎて痛くて、舌を噛んでやろうと思ってるのにできない。苦いタバコの味のする唾液を流し込まれた。後ろ手に拘束されて動かない身体でそれでも必死に暴れて、レイプみたいなキスからようやく逃れる。口の中に溜まったツバを吐き出すと一緒に涙が出た。
「もうやだっ! 家に帰してよっ」
「何言ってんの。まだこれからだよ。始めたとこでしょ」
 ゆっくりと降りてきた指が首すじを通って、そしてブラウスのボタンに触れる。逃げようとしてソファの背から斜めに滑り落ちてしまって、ソファに寝転んだような姿勢になった。慌てて起き上がろうとしたところを簡単に抑え込まれてしまう。
「触んないでっ!」
「動くと火傷するよー。熱いよー」
 間延びした口調と同時に、目の前にタバコが寄せられた。火への本能的な恐怖で思わず眼を瞑ってしまう。頬の辺りがじりじりと熱い。怖い。タバコの火より、この人が怖い。お願い助けて。誰か助けて。助けて、ユーキさんっ!
「そうそう、じっとしててね」
 楽しげな声と同時に、スカートの隙間から手が入り込んでくる。ショーツの中に入り込んだ手が、ぬるりと何かを塗りつけた。

  -つづく-

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