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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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この指を伸ばす先-118
2011年04月01日 (金)
「どうぞ、こちらへ」
 振り返って軽く頭を下げ、高瀬に着席を求める。置かれた椅子の種類とその位置にわずかに眉をひそめ、けれど高瀬は促されるまま簡素な椅子に腰を下ろした。
「さて、と。用件は何かな?」
 緊張した高瀬の周囲の空気を愉しむかのように黙って状況を見ていた、明らかに年下の執行役員は、静かな笑みを浮かべたまま口を開いた。
「こちらとしてもきみに訊きたいことはたくさんあるんだが、とりあえずはそちらの話を聞いてみよう。言ってみなさい」
 圧倒的優位に立つ者の嘲笑の混じった慈悲に、高瀬は気付かれないようぐっと奥歯を噛みしめた。猫科の猛獣が捕らえた獲物が息絶えるまで遊ぶぼうと決めたかのような残酷な笑みには見覚えがある。百戦錬磨のマネーゲーマーの中にそのような性癖を持つ者は多かった。相手がどこで潰れるか、ギリギリまで首を絞めて愉しむような輩は、しかしそれに耐え意表を突く言葉を返すことができれば信頼を得られる。相手の試練を何度も乗り越え、驚かせれば驚かせるほど信頼は強固に揺るぎないものになっていく。経験的に高瀬はそのことをよく知っていた。ここが踏ん張りどころだと自分に言い聞かせながら、高瀬は深く頭を下げた。
「ありがとうございます」
「そうかしこまることもない。気楽に話してくれればいい。私はそれほど礼儀にうるさいほうではなくてね」
 砕けた口調で明るく笑うが、高瀬に向けられている目は決して笑ってはいなかった。油断すれば一気に奈落へ落とされるだろうと、高瀬はこぶしを強く握った。
「わかりました。もうすでにご存知だとは思いますが」
 よく研いだ刃先で肌を撫でられるような緊迫感を高瀬は決して嫌いではなかった。信頼できる使える駒が欲しいと考えるのは上に立つ者に共通するのだろう。一番の問題は、使いこなせるかどうかだが、そこまで知恵が回る者などそうそういるものではないと、おそらくはどこかで限界まで追い詰められているであろう元上司の脂ぎった顔をちらりと思い浮かべた。
 しかし残念ながら、上に昇り安定するほど、どれほど有能な者も心地いい言葉を求め、周囲もそのように接するようになる。流れない水が澱み腐っていくのが世の常である以上、ある程度は仕方のないことだが、それだけでは社会は無能になった成功者に食い潰される。
 けれど、目の前の執行役員はまだ腐っていないように見える。媚びるが勝ちか、受けて立つが有利か。話の持って行きかたを幾通りか考えながら、高瀬は腹のうちで一つ頷いた。
「わたくしの直接の上司である、総務課課長の背任横領の件ですが――」

 -つづく-
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