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R18 らぶえっち小説Blog
えっちな表現が盛りだくさんにつき、18歳未満&清純派さん回れ右!
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あなたは知らない-20
2012年01月19日 (木)
「主任?」
 声が聞こえたのか、ひじの近くまで袖をめくり上げた両腕をデスクについて、肩凝りを振り払うように軽く頭を左右に振っていた主任がこちらを向いた。わたしの視線を確かめて、わずかに眉をひそめた厳しい表情がふっと緩む。ほっと息をついたようなその変化がなぜか心にズキっと響いた。
「お疲れですか? お茶でも淹れましょうか」
「あぁ……。頼むよ、ありがとう。じゃあちょっと、手を洗ってくる」
 溜息混じりの笑顔に、成美ちゃんじゃないけれど本当にステキだなと考えてしまう。
「はい、行ってらっしゃい」
 思わず笑顔で頷き返してから急いで席を立ち、電気ポットの残量を確かめた。定時で帰った二人が切ったのか、電源はコンセントから抜け落ちて丸まっていたけれど、惰性で保温されていたお湯は緑茶に使うのにはちょうどいい温度だった。
「今日だけね、ちょっとだけ」
 口の中で呟きながら、折り返したパックの口を洗濯バサミで止めたスーパーのお買い得品ではなく、千代紙を何枚も張り合わせたようなデザインの茶筒に手を伸ばした。ぽふんと音を立てて中蓋を開けると、普段見るのとは質の違う、コルネットのように上品に丸められた茶葉が慎ましやかに顔を出した。
「でも、主任だって、あんなに頑張ってんだし」
 ドアを抜ける疲れた後ろ姿を思い出しながら急須に茶葉を振り落とした。来客専用なのは百も承知だが、幸いここにはわたし以外の人はおらず、当然この行為を見咎める人もいない。飲ませてしまえば主任も共犯だ。主任の湯飲みと、ずうずうしくも自分用のマグカップを用意しているうちに、ぎぎっと軋むような音が鳴った。ノブを戻してドアを閉めると、濃い紺色に白と赤のラインの入ったスポーティなデザインのタオルハンカチをズボンのポケットに押し込みながら主任がこちらを向いた。
「あ、お帰りなさい。お茶入りましたから」
 ゆっくり急須を傾けると、注ぎ口が表面張力でいったんぷくっと膨れてから、耐え切れなくなったようにとろりと流れ出た。薄い緑の液体が白磁の湯飲みの底にわずかな澱みを作りながら優しい香りの沼になる。七分ほどで手を止め、いつのまにかすぐそばにいた主任に差し出した。
「どうぞ、主任」
 受け渡しの際に主任の冷たい指先が当たって、それにドキリと胸が鳴る。高校生じゃあるまいしここで手を引いたらイヤがってるみたいで失礼でしょと、ドキドキする心臓に言い聞かせてさわられるままじっと動かない。
「ありがとう」
 笑顔に頷き返して、残った分を自分のマグカップに注いだ。両手でくるんだマグに口をつけるふりで、湯飲みを鷲づかみにしてかなり男らしくお茶を飲む横顔をそっと目だけを上げて見た。視線に気づいたのか、主任の目がわたしに向けられた。一瞬お互い見つめ合って、そしてほぼ同時に声に出さずに小さく笑う。

 -つづく-
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